ブロードウェイの角の公衆電話が鳴っている。が、受話器をとりあげたとたん、カチッという音がして電話が切れた。
「じゃあ、あんたはおれの過去を聞いてはくれないんだね」
「どうしてもあなたの過去を物語りたければ受話器をにぎりなさい。あなたの過去は受話器のなかにあるのよ」
「でも、何も聞こえないじゃないか」
「聞こえてるわ」
「うそだ!」