シクス・アヴェニューの角で肉を焼いている。羊の肉だろう。日本の火葬場で似たような臭いをかいだことがあある。その店のカウンターで老婆が一人座っている。彼女はコーヒーを飲みに来たのではないだろう。コーヒーが入ったままのカップを自分のまえに置いたまま、ずっと座っている。彼女は腰を下ろすためにこの店に入り、一番安いものを注文したのだ。カップにコーヒーが残っているあいだは追い出されることはない。